就労継続支援B型事業所(通称:B型事業所)とは、障がい者のための職業訓練所です。
どのような企業なのか、特徴をお伝えします。
2つの会社ってどういうこと?
初めて経理をする時に、その会社の特徴をつかむことが大事です。どのようなお金の流れがあるのかをつかめれば、経理処理が進みます。
しかし入社した直後、B型事業所の経理を始めるにあたり、困ったことがありました。
社長とスタッフさんに聞くと、違うことを言うのです。その理由が、サブタイトルにもある2つ会社があるからです。状況を整理すると、2つの会社という考え方だったり、2つの事業所があると言ってもいいかもしれません。
最初にこの概念があれば、これから経理担当者につく方にもわかりやすいですし、いま経理をしている方にとっても整理するきっかけになると思います。
お金を支払う人、お客様であるサービスを受ける人、それによってお給料をもらう人、の3者の視点でみていきます。
1つ目の会社は、職業訓練所
B型事業所は、障がい者の職業訓練所です。これは、B型事業所と聞くと誰もが思い浮かぶイメージです。そのため、サービスを受ける人は、利用者さんと呼ばれる障がい者がある方。当社は、パートナーさんと呼びます。パートナーさんが訓練を受ける時に、国からの補助がありほぼゼロ円で訓練を受けることができます。そのため、お金を支払う人は国。会社が国に請求をすることで、会社が訓練給付金をもらいます。それによって、お給料をもらうのは、B型事業所で働くスタッフです。
病院受診をする場合とほぼ似ています。患者さんは一部負担をして、国が補助を出す。病院は国に請求をかけて医療費収入を得て、スタッフさんにお給料を支払う。
これが、一般的なB型事業所です。
2つ目の会社、受託業務会社
2つ目の会社は、訓練所を利用するパートナーさんのお仕事を受けるところです。「業務を受託する」すなわち、企業や個人の方から軽作業などを受託することでお仕事をします。
例えば、会社のダイレクトメールを印刷して封ずめする作業であったり、点字名刺を作成したり、床やトイレ清掃、アパートのメンテナンスを受託する業務です。
この場合、お金を支払う人とお客様であるそのサービスを受ける人は同一人物となります。依頼主である法人や個人の方です。パートナーさんが訓練のために受託した仕事をして、B型事業所が請求をしてお金を預かり、パートナーさんにお給料としてお支払いします。
自分の頭で整理することが大事
この2つの会社という概念、または、2つの事業という概念があると、非常に助かります。
「いまコロナによって売上が低くて、赤字で大変だよ」とスタッフが言ったのあれば、受託業務会社の方が受託売上が低いということになります。
経営者が「売上をあげるためにはどうすればいい」と言えば、新規のパートナーさんや既存のパートナーさんの利用回数を増やすことに悩んでいる、ということがわかります。
話す相手の立場や、状況によって、売上や給料の意味合いが大きく変わるのがB型事業所。
B型事業所で2・3年働くスタッフでもこの切り分けができてないことはザラです。
経理担当者や経営者のみが把握していることがほとんどです。
先週スタッフ会議でこのお話をした時に、スタッフもモヤモヤしていたことがハッキリ見えてきたので、嬉しそうでした。
まずは、経理担当者がこの全体像を把握することで、
会話をより充実したものにするきっかけになります。
スタッフさんにお話してみませんか?